期末試験の解答と講評
期末試験おつかれさまでした。
期末試験では,問題1は大部分の人が正解だったのに対し,問題2,問題3では
正答者ががくんと少なくなってしまったのが残念でした。問題2の(3),(4)は少し難し
かったかもしれません(ただし,(3)は第3回レポートに類似の問題がありますが)。
問題3は,それほど難しくない問題のつもりでしたが,解答者が少なかったのは
意外でした。問題2に時間を掛けてしまった人が多かったからかもしれません。
問題の解答を作成しましたので,参考にしてください。
また,各問の考え方,間違いが多かった箇所,正答率等を以下に載せておきます。
なお,以下で正答率とは,部分正解も含めた「その問題の平均点」÷「その問題へ
の配点」を表します。
問題1
(1) 正答率 99%
これは基本ですね。ほんのちょっとした表記ミスを除き,全員正解でした。
(2) 正答率 83%
これも授業でやった通りです。授業ノートの「非線形方程式の解法」の項を参照して
ください。
(3) 正答率 91%
上記(1)と同様に f(x) をテイラー展開で近似しますが,2次の項まで取ります。この
近似式が 0 となるための x の条件を求めると,2次方程式が出てきますが,ヒント
に従い,(x-x_0)^2 という項の一方の因子 (x-x_0) だけをニュートン法の反復式を
用いて近似します。(x-x_0)^2 全体を近似してしまった人も何人かいましたが,こう
すると近似の度合いが悪くなってしまうので,ヒントに従い,最小限の近似で済ませ
るのがポイントです。
(4) 正答率 83%
上記(3)ができれば,これは単なる計算問題です。(3)で正しい公式を導くと,ニュー
トン法に比べても格段に速い収束が得られます。解答を見てください。(3)で導いた
解法をベイリー法と呼びます。
問題2
(1) 正答率 48%
この問題では,授業の「常微分方程式の解法」の最後でやったように,従属変数を
導入して2元連立1階常微分方程式に書き直します。この方法を取らず,方程式を
解析的に積分して1階常微分方程式に変換してくれた人も数多くいましたが,連立
常微分方程式に直せというのが問題の指示なので,ここはそれに従って欲しかった
ところです(そうでないと(4)が解けなくなります)。
(2) 正答率 43%
この問題は,(1)ができた人はほぼできていました。
(3) 正答率 24%
ホイン法を連立常微分方程式に拡張する問題です。ちょっと考える必要があるかも
しれませんが,x と y(新たに導入した従属変数)にそれぞれホイン法を適用する
と考えればできます。また,第3回レポートの問題6でも類似の問題を出題したので,
それを復習していた人はできたのではないかと思います。
(4) 正答率 5%
この問題は極めて正答率が低く,残念ながら完全な正解に到達できた人はいません
でした。方針としては,(3)のホイン法の反復式を行列形式で表し,それを対角化
してべき乗を計算すればよいことになります。行列形式で書けた人は4名,固有値
を正しく計算できた人はそのうち1名でした。線形代数の復習にもなるので,解答
での対角化とべき乗計算の方法を見直してみてください。
問題3
(1) 正答率 56%
これは差分法の基本なので,全員正解して欲しかったところです。基本的に,各問
とも(1),(2)は授業でやったことをそのまま使えば解ける問題にしたつもりだったの
ですが,実際には,難しい問題に時間を取られて簡単な問題を後回しにしてしまった
人が多かったようです。
(2) 正答率 9%
まず,両方向の格子点数がそれぞれ5で,両端は固定境界条件により与えられて
いるので,変数の数は3×3=9個であることに注意してください。あとは,(1)で
導いた式をそれぞれの (i,j) について具体的に書いてみて,各変数に対する式に他
のどの変数が現れるかを調べれば,行列を作ることができます。
(3) 正答率 8%
上記(2)が正しくできれば,この問題も簡単にできます。帯行列(帯幅N-2)であるこ
とと,対称行列であることの2つがポイントです。
(4) 正答率 1%
最後の授業でやった,帯行列の場合と対称行列の場合のガウスの消去法の計算
量を思い出し,行列の元数が (N-2)^2 で,帯幅が N-2 の場合に適用します。この
問題も,残念ながら完全な正解に到達した人はいませんでした。
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