第1回レポートの解答と講評
第1回レポートの提出者は45名でした。3問のうち,問題1の(2)と問題3の(3)以外の
正答率は非常に高く,桁落ちの回避法,二分法やニュートン法による非線形方程式
の解法,ニュートン補間の計算法などが理解してもらえたことがわかりました。
問題1の(2)は,近い数どうしを引いても異符号ならば桁落ちは起こらないという例題
でしたが,うっかり「桁落ちする」と答えた人が半数を占めました。また,問題3の(3)
はラグランジュ(ニュートン)補間の誤差評価でしたが,評価式の各項の意味がまだ
十分には理解されていなかったようで,やはり正解率は40%程度に留まりました。
解答を載せておきますので,ぜひ見てください。これは,緑川麿君のレポートを元に
作成したものです。なお,各問の考え方,間違いが多かった箇所などを以下にまとめ
ておきます。
問題1
(1) 正答率 96%
分子の有理化により,桁落ちが起きない形に変形します。典型的な問題ですね。
(2) 正答率 49%
x が 0 に近いとき,2つの項は非常に近い値になるので,一見すると桁落ちが起きる
ように思えますが,実は符号が異なるため,桁落ちは生じません。
(3) 正答率 80%
(1)と同様に分子の有理化を行いますが,そうすると再び分子に 1-cos(x) という形が
出てくるので,再び分子分母に 1+cos(x) をかけて分子を sin^2(x) に直します。別解と
して,1-cos(x) = 2sin^2(x/2) を使う方法もあります。計算間違いがあった人以外は,
ほぼ全員正解でした。
問題2
(1) 正答率 100%
(2) 正答率 100%
(3) 正答率 100%
全員,非常に良くできていました。ただ,プログラムを書いて計算機で実行した人が
非常に少なく,電卓で計算を行った人がほとんどでした。必ずしも全員がプログラミ
ングのできる環境を持っているわけではないので,計算機での実行を必須にはでき
ませんが,練習のため,可能な人はできるだけプログラムを書いて実行するように
しましょう。
問題3
(1) 正答率 96%
計算間違いをした人以外は,ほとんどできていました。ただ,ラグランジュ補間の公式
を用いて補間式を導いている解答がありました。ラグランジュ補間とニュートン補間は,
得られる式は同じですが,今回のように補間点を順々に追加していく場合は,計算を
初めからやり直さなくて済む分だけニュートン補間のほうが有利です。
(2) 正答率 91%
これは,代入するだけですね。
(3) 正答率 40%
授業でやったラグランジュ補間の誤差評価の式を使うだけですが,正しく使えていない
解答が多かったです。一番多かったのは,誤差評価の式に出てくる x_n に 0.5 を代入
してしまうもの。あそこで出てくる x_n は,区間の右端という意味 (証明の便宜上,
x_0 < x_1 ・・・ < x_n と仮定しただけ) なので,今回の問題では 1 を使うべきです。
あと,max|f^(n+1)(x)| という因子を抜かしてしまった人も何人かいました。講義ノートと
解答をもう一度見てみてください。
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