第3回レポートの解答と講評
第3回レポートの提出者は30名でした。
第1問はガウスの消去法を自分で計算してみる問題,第2問はクランク=ニコルソン法
を拡張した解法について無条件安定性を証明する少し理論的な問題,第3問はSOR
法をプログラミングする問題です。第2問の(3)のあたりまでは良くできていましたが,
やや難しい第2問の(4)とプログラミングが必要な第3問では,残念ながら正答率が大
きく落ちていました。
解答を載せますので,見てください。第1問と第2問の解答については私が作成した
もの,第3問の解答については石川達也君のレポートを載せておきます。なお,各問
の考え方,間違いが多かった箇所などを以下にまとめておきます。
問題1
(1) 正答率 97%
ガウスの消去法を用いて3元の連立一次方程式を解く問題です。計算間違いがあった
ほかは,全員よくできていました。
(2) 正答率 97%
ピボット選択を行うガウスの消去法を用いて3元の連立一次方程式を解く問題です。
これもよくできていました。
問題2
(1) 正答率 93%
与えられた式において,時刻 t_{j+1} での項を左辺,時刻 t_j での項を右辺に持って
きて整理します。なお,行列形式で書くときは,講義でやったクランク=ニコルソン法
の場合と同様,境界 i=0, M における値は定数なので別扱いにします。
(2) 正答率 93%
上記の式の右辺の行列を A と I(単位行列)とで表し,ベクトルも陽的差分法の講義
で導入した記号を用いて表します。
(3) 正答率 87%
小問(2)で得られた式を u_{j+1} について解くと,そのときの u_j の係数が求める行列
C となります。そこで,C の固有値を求めることになりますが,このためには,行列 A
の固有値を λ とするとき,A の有理式 f(A) により定義される行列の固有値は f(λ) と
なるという事実を使います。A の固有値は陽的差分法の講義で解析的に求めたので,
それを使うと C の固有値が求まります。
(4) 正答率 30%
上記で求めた固有値のそれぞれは,c に関して減少関数となっていることが示せます。
そこで,各固有値に対し,c=0 での値と c=1/2 での値とを求め,両方とも区間 [-1, 1]
に入っていることが示せれば,その固有値は 0 ≦ c ≦ 1/2 のすべての c に対して
絶対値が1より小さいということが示せます。c=0 と c=1/2 での値だけを調べて単調
減少性を言わない解答が多くありましたが,これは飛躍です。なお,別解として,グラフ
を使う解答,場合分けにより固有値の分母・分子の絶対値の大きさを比べる解答もあ
りました。
問題3
(1) 正答率 60%
講義ノートにアルゴリズムが載っているので,簡単な問題のつもりでしたが,出来は
必ずしも良くありませんでした。「完全なプログラムにせよ」と書いてあるので,講義
ノートでは書いていない配列の定義などを行い,そのまま計算機でコンパイルできるプ
ログラムにする必要があります。
(2) 正答率 40%
ここでは,w_{ij} の最大値を求める必要がありますが,そのためには最大値を格納す
る変数 wmax を用意して,iとjに関する2重ループにより w_{ij} の値を1つずつ wmax
の値と比較し,w_{ij} の方が大きければ,wmax の値を w_{ij} で置き換えるというのが
定石です。このような最大値計算は様々なプログラムで必要になるので,やり方を身に
付けておいてください。
(3) 正答率 43%
結果については解答例を見てください。繰り返しを行うにつれて,w^(n) が指数関数的
に減少していくのがわかります。
2004年度応用数学のページに戻る