第2回レポートの解答と講評
第2回レポートの提出者は31名でした。5問のうち,問題1,2の正答率は非常に
高く,ニュートン法の収束性の解析とラグランジュ補間の誤差公式がしっかり
理解してもらえたことが確認できました。また,問題3については誤差の定義を
把握できていない解答が若干ありましたが,それ以外はほぼ正解でした。
問題4と5はどちらかを選択ということで,問題4のほうが簡単だと思っていたの
ですが,選択者は3名のみで意外でした。選択した人は全員正解でした。
問題5のスプライン補間は,連立一次方程式を立てるところまでは多くの人が
正しくできていましたが,解くところで計算力が必要で,正解に到達した人は5割
ちょっとでした。
解答に代えて,築山知弘君のレポートと奥山直樹君のレポートを載せておきます
ので,ぜひ見てください。築山君は問題4を,奥山君は問題5を選択しています。
築山君は台形公式による数値積分とニュートン補間を行う Excel マクロも作って
くれたので,それも載せておきます。興味のある人は実行してみてください。
他にも完璧なレポートを提出してくれた人は何人かいましたが,ホームページへ
の載せやすさということで,ワープロで書かれたこの2つを選ばせてもらいました。
なお,各問の考え方,間違いが多かった箇所などを以下にまとめておきます。
問題1
(1) 正答率 100%
授業でやった2重根の場合と同様に考えます。ただし,3重根では解における3階
までの微分が0となるので,ニュートン法の反復式の分子・分母の両方において,
最初の0でない項までテイラー展開の項を取ります。
(2) 正答率 100%
m 重根の場合も(1)と同様です。解における m 階までの微分が0となることに注意
します。
問題2
(1) 正答率 100%
ラグランジュ補間の誤差の式に f(x) = sin(x) を代入します。sin(x) は何回微分しても
sin(x) と cos(x)(あるいはその-1倍)しか出てこないので,高階の微係数の絶対値の
上限が簡単に計算できることがポイントです。
(2) 正答率 100%
上記(1)と同様。exp(x) は何回微分しても exp(x) であることを使います。
(3) 正答率 77%
(1),(2)ができれば簡単にできます。ただ,計算間違いをした人が多少いました。
問題3
(1) 正答率 71%
これは,台形公式,シンプソン公式に f(x) = sin(x) を代入するだけです。
プログラムで書けば簡単ですが,手計算あるいは電卓での計算は,ちょっと大変
だったかもしれません。おつかれさまでした。なお,この例題では台形公式,
シンプソン公式の誤差がそれぞれ(12/1の授業でやったように)きれいに h の
-2乗のオーダー,-4乗のオーダーになっているはずなので,確かめてみてください。
(2) 正答率 87%
(1)と同じ,単純な計算問題です。この例題でも,誤差は(1)と同様の振る舞いを
示します。
問題4 (選択者3人)
(1) 正答率 100%
レポート課題の裏に書いた「ニュートン補間のアルゴリズム」をそのままプログラム化
すればできます。
(2) 正答率 100%
n を増やすにつれて誤差が指数関数的に減少していくのが観察できます。これは,
exp(x)のように滑らかな(高階微分が大きくならないような)関数に特徴的な振る舞い
です。これは,授業でやったラグランジュ補間の誤差の評価式(ニュートン補間は
補間式としてはラグランジュ補間と同じもの)からも予想できることです。
問題5 (選択者20人)
(1) 正答率 55%
授業でやったように 4n 個のスプライン補間の係数の満たすべき式を作り,それを
C2,i(i=1,2,3,4)のみの連立一次方程式に直します(このステップは教科書参照)。
これを解いて C2,i を求めます。行列式を使って解いている人が多かったのですが,
教科書にあるように,消去法を使うほうが簡単に解けるはずです。なお,このような
連立一次方程式の効率的な解き方については,第8章で詳しく学びます。
(2) 正答率 55%
スプライン補間の係数が正しく計算できていると,誤差は 10^{-3} オーダーになる
はずです。たった4点の補間でこの精度が達成できていることを見ると,スプライン
補間の精度の高さがわかります。
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